ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.02
住宅改修に関してケアマネジャーに求められるスキルとは
利用者・事業者間のコミュニケーション不足を補うスキル
住宅改修では、時としてコミュニケーション不足から行き違いが起こることがあります。というのも、建築の専門用語はなかなか理解しにくいですし、見積書や図面だけでは改修後をイメージしにくいからです。ですから、たとえば手すりを付けるのであれば、見積もりだけでなく、実際に手すりを設置する位置にテープを貼って、ここに手すりが付きますよ、と示す方がイメージしやすいと思います。ケアマネジャーは事業者に、どうすれば利用者が理解しやすいかを考えて工事の内容をわかりやすく示してくれるよう、協力を求めてもよいのではないでしょうか。ケアマネジャーにはこうした利用者と事業者の間の橋渡しのほか、福祉用具同様、中立な第三者の立場で事業者の説明を聞き、利用者が理解できているかどうかをチェックする視点を持っていていただければと思います。
こうしたやり取りがスムーズにできる事業者をどのようにして見つければよいかと言えば、まずは介護保険の住宅改修工事の実績が多いところを選ぶことです。また、どういう工事が得意かを教えてくれるなど、情報をオープンにしているところであれば、なお安心でしょう。住宅改修で難しいのは、利用者がスピードを求めている場合です。福祉用具であれば使い勝手が悪ければ交換できますが、住宅改修はそうはいきません。丁寧に時間をかけて説明をしてくれる事業者を選び、あまり短期間での工事を求めないことです。建築士は初回の打ち合わせ、工事の過程、完成時の3回は来てくれると思うのですが、工期短縮のためにこれを省略してしまうのはお勧めできません。そうしたことを理解した上で、ケアマネジャーが事業者との間に立って調整する役割を担えば、スムーズに住宅改修を進められるのではないかと思います。
加島先生からのメッセージ
住宅改修の目的は、在宅で安全で便利に暮らせるようにすることなので、ケアマネジャーは利用者に対して最初から適切なアドバイスができなくてもかまいません。福祉用具同様、まずは利用者に近い目線で事業者の話を聞いて、納得できないこと、理解できないことについて、詳しい説明を求めていくということでよいと思います。そこから徐々に知識を身につけて、両者の間に立てるようになればよいのです。
国民生活センターが今年3月に発表した「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編-」※を見ると、家庭内事故は居室、階段、台所・食堂で多く起こっており、実際の事例では「つまづく」「滑る」「踏みはずす」という言葉が多くみられます。ケアマネジャーには、この3つの事故要因が起こらないような住宅改修となっているかどうかをチェックしていただければと思います。
- 加島 守 氏のご紹介
- 主任介護支援専門員。
医療ソーシャルワーカーとして勤務後、理学療法士資格取得。病院等での勤務を経て、平成16年10月に高齢者生活福祉研究所を設立。所長を務める。財団法人保健福祉広報協会評議員。『明解!福祉用具サービス計画の手引き』(共著/筒井書房刊)、『住宅改修アセスメントのすべて 介護保険「理由書」の書き方・使い方マニュアル』(三和書籍)などがある。
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