令和2年度(第23回)介護支援専門員実務研修受講試験 解答

【解答速報】

【総評】

◆「自然」に翻弄され続けた本年度試験

2020年度の第23回介護支援専門員実務研修受講試験(以下、本試験といいます)が、10月11日(日)、予定通り実施されました。

昨年度は台風19号の列島上陸などの影響により、試験を延期した都県が発生したため、所定の10月実施に加え、年明けの本年3月に追加試験が行われるという異例の事態となりました。

さらに昨年末から、日本も新型コロナウイルス感染症(COVID−19)の影響を受けました。その結果、「三密」を避けるため集合型イベントの開催が自粛されるなど、受験対策のセミナーが軒並み中止になったことで、受験準備にも影響があったと推察されます。その影響は、本年3月に実施された追加試験の受験者数にも及んだとされます。実際、私も「勤務先の施設や医療機関の指示で受験を諦めた」や「自己責任の認識から受験しなかった」という声を耳にしています。コロナ禍が、ただでさえ減少傾向にある介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数減少に拍車をかけたことは否めないでしょう。

さらに3月に実施された追加試験で未受験者が多く出たにも関わらず、10月に実施された本試験の受験者数がほとんど増えなかったのも、コロナ禍の影響です。

加えて、日本列島に接近し、迷走した台風14号で、やきもきされた受験者の不安なお気持ちは、察するに余りあります。ここまで自然の力にも影響・翻弄される試験も少ないのではないかと、同情を禁じえません。

指定居宅介護支援事業者の管理者を、主任介護支援専門員とする基準変更の猶予期間は、2027年3月末まで延長されましたが、その措置は、現実的に介護支援専門員が不足していることの現れといえます。

深刻化する高齢社会で果たす役割、介護保険制度の下での専門職として役割-。介護支援専門員の重要性を当事者及び社会全体で再認識し、社会的地位(収入面を含む)の維持向上への政治的なアプローチも期待し、その志望者増と活躍の機会の増加を、切に望みます。

◆試験全体の出題傾向・難易度、予想合格基準について

前述のとおり、昨年から計3本の試験問題を作成されることとなり、試験センターのご苦労もいかばかりかと推察します。

本試験の全体像としては、一部に重箱の隅をつつくような出題もありましたが、出題範囲も満遍なく、難易度も例年並みと判定しました。

本試験全体の傾向としては、ここ数年、出題の70%を超えていた「3つ選べ」が、本試験では38問/60問(63%)と幾分減少していました。その結果、解答作業に要する時間に若干の余裕が生じたと思われます。

また、ここ数年出題の主流であった「適切なもの」「より適切なもの」を選択させる出題が、数問に減少していました。すなわち、5つの選択肢間での比較衡量を検討することが少なく、法律や基準、確立した手技や解釈など、「根拠(エビデンス)の明確なものを問う」出題にシフトしたことを意味します。

受験者側に立てば、設問と選択肢で推測できる(思考重視)問題が少なくなり、「確実に詳細事項まで理解、あるいは暗記」(暗記重視)の問題が多かったのではないかと考えます。

とはいえ、暗記偏重の予兆ではなく、「介護支援専門員として、正しく理解している、根拠に基づき判断できる知識力と読解力」を試すことに焦点を当てた、出題傾向といえるでしょう。

よって難易度は、テキスト(長寿社会開発センター版八訂介護支援専門員基本テキストなど)を、すみずみまでしっかり読み込み理解していた受験者には、自信をもって解答できた内容だったのではないでしょうか。

なお、個人的には、問題作成者の恣意的な部分を極力排除できる傾向ですので、良い傾向と受け止めています。

予想される合格基準は、昨年度実施の2回試験の難易度と、昨今の受験者減、本試験の出題傾向のすべてを材料に推測し、介護支援分野15点/25点(60%)、保健医療福祉分野26点/35点(74%)、合計41点/60点(68%)あたりではないかと予測しました。

◆介護支援分野について

介護支援分野の出題では、認定や給付、居宅介護支援を中心とした「ケアマネジメント」について、偏りなく出題されました。決して簡単な問題ばかりではありませんでしたが、言い回しによる「ヒッカケ」などの出題は、例年よりもはるかに少なかったと言えます。

例年の習わしではありますが、第1問では「調査結果、統計結果」に関して問うもので、知らなければ解けないという点で、最初に受験者にショックを与えるには十分でした。問題6は、介護保険法の条文に関するもので、丁寧に読めば正解できます。ただ、選択肢1のように、条文の「要介護状態等の軽減又は悪化の防止…」を「要介護状態の維持又は悪化の防止…」とするなどは、条文など法律に苦手意識をもってしまった受験者は、「ヒッカケ」問題と感じたでしょう。

問題13では、「医療介護総合確保法」に関わるもので、出題自体は難しくはないのですが、当該法の基本指針に関する選択肢の内容はやや難しく思えました。

ここ数年出題の少なかった介護保険審査会や財政安定基金が出題されました。また、出題数が減少していた「要介護認定と介護認定審査会」については3問に増え、新鮮さすら感じました。ちなみに出題内容は、過去出題のテキスト記載内容レベルで、難易度は低いと思われました。ただし、問題23の「介護予防サービス・支援計画書の内容」は、やや意表を突くもので、なかなか骨の折れる問題でした。

◆保健医療福祉分野について

保健医療福祉分野のうち、「保健医療サービスの知識等」の出題は、過去の本試験出題レベルのものが大半で、過去問をしっかりと活用された受験者には、比較的容易に正答を導き出せたのではないかと推察します。

長寿社会開発センター版八訂基本テキストに詳述されているのに、これまで出題がなかった熱型の問題やNBМとEBМの問題なども見られました。「基本テキスト」の改訂を見据えた、棚卸的な出題だったのかもしれません。

また、国が標榜する「予防重視」を反映し、栄養や食事、関連して口腔に関する出題が目立つのも、本試験の特徴といえます。ここ数年連続で出題されていた「定期巡回随時対応型訪問介護看護」に代わって「看護小規模多機能型居宅介護」が出題され、選択肢で「療養通所介護」にも触れ、基本的・基礎的な事項を偏りなく出題していると思います。

なお例年に比べて、「認知症と認知症ケア」に関する出題が少なく感じました。認知症に対する社会的関心の高まり、啓蒙、ケアに関する施策などの周知が進んだことに問題作成者が配慮し、出題を抑制したのかもしれません。

「福祉サービスの知識等」では、面接相談のほか、ソーシャルワークに関し3問も出題されました。例年に比べ出題数は多いと感じましたが、出題内容は基本的なものでした。

問題50の短期入所生活介護は、出題自体は一般的ですが、選択肢表現に癖があり、難問と感じた方も少なくなかったと推察します。

一部、基準省令の詳細内容や、介護報酬の設定や加算等の算定条件に言及するものもあり、難しいと感じた受験者もおられたと思いますが、相対的に、保健医療福祉分野の合格基準は、例年並みになると予想しています。

◆おわりに……次年度「第24回」試験を大胆予想する

「第23回」試験が終わったばかりで、次年度予想をすることは容易ではありませんが、昨年度試験(2回実施)と本試験、社会情勢から解析し、本試験の出題傾向である、基準等規定に沿った基礎・基本の徹底確認が、次年度「第24回」試験の出題傾向と予想します。

2025年を目前にして、介護保険法の一部改正が予定されています。このタイミングで、3年間以上改訂のなかった長寿社会開発センターの介護支援専門員基本テキストも、改訂されるでしょう。

現行八訂版で解説されている事項も、かなりの量の法改正や解釈改定が段階的に行われてきています。

ご利用者に密接に関連する改正事項と、介護支援専門員の職務職責、社会的役割については、しっかりと学習しておくことが、受験対策上も重要と思います。

また、今後さらに推し進められるであろう、高齢者と障害者の「共生」については、常に動向に関心をもっていて下さい。介護支援専門員として障害者福祉施策と、どう関わるのか。相談支援専門員(障害者福祉担当)と連携し、サービス利用支援を行っていくか―。こうしたケアマネジメントの視点から、正しく学習を続けることも、「第24回」試験の受験対策の一助となると思います。

最後に、一刻も早く新型コロナウイルス感染症が終息し、「新しい、安寧の日常」が定着することを祈念します。そして本試験受験者並びに本記事の読者の皆様には、コロナ感染などには十分に配慮されるとともに、ご自愛されますように。

高齢社会権利擁護研究所 所長 野島 正典

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