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VOL.28菅内閣発足!2021年度改定はどうなる?

2020/10/19 配信

菅義偉内閣が発足して1カ月余りが経過した。突然の首相交代と内閣の刷新に、介護関係者の中には「2021年度の介護報酬改定はどうなるのか?」と不安を感じている人も少なくないだろう。特に、未曾有のコロナ禍を受け、緊急の財政出動が続いていることから「介護報酬がまた削られるのでは?」と懸念している人も多いはずだ。

期待できる来春のプラス改定

結論から言えば、私は、菅内閣においても来年春の介護報酬改定はプラスになると予測する。

そういうと、少し首をひねる読者もいるかもしれない。「過去、菅氏は、介護に厳しい姿勢で臨んだことがあったではないか?」と。

確かに、菅首相が官房長官を務めていた2015年度には、思い切ったマイナス改定(マイナス2.27%)が行われた。その後の18年度の介護報酬改定はプラス改定となったものの、わずか0.54%の上乗せにとどまった。特に、思い切ったマイナス改定が行われた15年度の厚生労働大臣は、新内閣で同じポストに再登板した田村憲久氏だった。

しかし、今と当時とでは社会情勢は全く異なっている。さらに田村厚労大臣については、もともと介護に精通した大臣である上、コロナ禍への対応にも強い信念を持って臨んでいる。それだけに今年の財務省との予算折衝でも、プラス改定を勝ち取るために、粘り強く交渉してくれるのではないか。

また、その「上司」である菅首相も、介護施策には、もともと高い関心を持っているようだ。介護従事者への一律5万円の慰労金についても、菅氏が実現に尽力したと聞いている。

こうした状況から、21年度の介護報酬改定は、プラスで落着すると思えるのだ。

居宅介護支援もプラス改定が見込まれるが…

ならば、居宅介護支援の改定はどうなるのか―。それを考えるためにも、改めて18年度の介護報酬改定を振り返りたい。

18年度の改定では、居宅介護支援も小幅ながらもプラス改定となり、基本報酬は引き上げられた。

居宅介護支援(Ⅰ)
※ケアマネジャー1人当たりの取扱件数が40未満である場合又は40以上である場合において、40未満の部分
(一)要介護1又は要介護2
1042単位/月(2015年)⇒ 1053単位/月(2018年)
(二)要介護3、要介護4又は要介護5
1353単位/月(2015年)⇒ 1368単位/月(2018年)

しかし、この引き上げの分だけ居宅介護支援の経営が安定したかというと、決してそうではない。

このほど私はケアマネジャー175名を対象に意識調査を行ったが、その4割程度が、コロナ渦以前よりも収入が減ったと答えた(グラフ参照)。その理由として、「コロナ渦で新規利用者制限している」「コロナの影響で新規依頼の動きが少ないと感じる」「新規減少・サービス利用控えが発生」などの声が寄せられた。

つまり、コロナ禍が18年度のわずかな上乗せ分を、あっさりと「食い尽くして」しまったわけだ。

それだけではない。コロナ禍においてケアマネは、平時にはない業務を負担させられてもいる。その代表例といえるのが、サービス利用者へのマスクの配布だ。国はこの業務をケアマネに担わせておきながら、そのための手間賃は、一切、上乗せしていない。それ以外でも、安否確認をかねて頻繁に利用者に連絡するようになったケアマネも多い。中には、ヘルパーやデイサービスなどの利用を控えている人の自宅に出向き、身の回りのケアをするケアマネもいる。

このような現場の実態を思えば、21年度の改定でも居宅介護支援の基本報酬は引き上げられるだろう。ただし、その上げ幅がどの程度かを予測するのは難しい。それを予測するには、この秋に公表される介護事業経営実態調査の結果を待たなければならない。

「逓減制」の緩和が処遇改善の代替か?

基本報酬の引き上げとともに気になるのが、ケアマネの処遇改善が実現されるかどうかだ。

今のところ、来年春の介護報酬改定に向けた議論で、ケアマネの処遇改善が直接論じられたことはない。ただ、気になる動きはある。

9月4日の介護給付費分科会で、「介護支援専門員の人材不足が課題となっており、質の維持・向上を前提に標準担当件数や、40件からの逓減制の件数等の見直しを検討してはどうか」という論点が示された点だ。

逓減制が緩和されれば、「少し担当件数を増やすことで、より多い収入を得る」という道が開ける。

つまり、「この緩和を生かし、ケアマネ自らが処遇改善を実現してほしい」という国の意図を感じるのだ。

能力の高いケアマネの中には、件数が多少増えても、収入が増えるほうにメリットを感じる者も少なくないであろう。そもそも、逓減制がなかった介護保険制度開始当初には、1人で60件、80件と担当しているケアマネも少なくなかった。さらに1人のケアマネの担当件数を増やすことは、深刻化し始めたケアマネの人材不足への対応策にもなり得る。

コロナ禍克服へ3%程度の引き上げを

いずれにしろ介護報酬全体の引き上げ幅が、どの程度によるかで居宅介護支援の動向も左右される。

私としては、コロナ渦という非常事態を乗り越えるためにも、過去最高であった09年度の改定(プラス3%)程度の引き上げを期待したい。この程度の引き上げ幅がなければ、抜本的な処遇改善の実現は難しいだろう。

もっとも、年内に解散・総選挙が行われれば、その結果によって、改定の動向も根底から変わってくる。そういう意味では、改定に向けた議論だけでなく、政局の動向からも目が離せない。

結城 康博(ゆうき・やすひろ)
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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