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小濱道博の介護経営よもやま話 小濱道博の介護経営よもやま話

VOL.14コロナで加速も 介護倒産増加の背景とは?

2020/10/30 配信

東京商工リサーチによると、今年1~9月の「老人福祉・介護事業」の倒産は94件で、介護保険制度が始まった2000年以降、1~9月で最も多かった昨年同期の85件を上回り、最多を更新した。

サービス種別では、「訪問介護事業」が46件(前年同期比6.9%増)で最も多く、次いで「通所・短期入所介護事業」が30件(同25.0%増)と続く。いわゆる「三密リスク」で、休業や利用者の利用休止が増えたデイサービス等や訪問介護が大部分を占める。いずれも小・零細事業者が大半で、人手不足による人件費の上昇が負担となり、持ちこたえられなくなったようだ。

同社は、コロナ禍における政府の支援効果の“息切れ”から、今後倒産が加速することが危惧されると分析している。

今も残るサービス自粛要請の影響

政府が緊急事態宣言を出した4月頃は、行政側からサービスの自粛を求められ、通常の定員の半分以下で事業運営を強いられたデイサービスも多かった。さらに厚労省からは、サービス提供時間の短縮も要請された。

5月下旬に緊急事態宣言が解除された後は、大手法人などが運営するデイサービスでは、早々に通常営業に切り替えたところも多かったが、小規模なデイサービスは地域との密着性が強く、特に地方にある事業所ほど、地域の目を気にし過ぎて通常営業に戻す判断が遅れた。

小規模デイサービスの大部分は、「介護報酬依存型」の運営をしているため、利用者半減かつ時間短縮ともなれば死活問題だ。利用者がサービスを休止したまま、今も戻って来ていない事業所も多いと聞く。

春に受けた政府の特別融資で持ちこたえていても、そろそろ限界が見えてくる時期である。この冬、新型コロナの感染が再び拡大し、新たにサービス自粛要請が出る事態となれば、心が折れて持ちこたえられなくなるデイサービスが相当数出ることも懸念される。

訪問介護、倒産の大部分は人手不足

訪問介護は、依然として倒産のトップを走っている。その原因の大部分は人手不足だ。ホームヘルパーの有効求人倍率はついに15倍を超え、訪問介護事業が存続の危機にあることを如実に物語っている。

この人手不足による影響の一端が、介護労働安定センターが実施した「令和元年度介護労働実態調査」の結果から見てとれる。全体の平均年齢が46.9歳だったのに対し、訪問介護員は50.1歳とかなり高い(介護支援専門員は51.3歳と、さらに高い状況ではあるが…)。

これまで訪問介護を支えてきた介護職員は、介護保険法の創成期で介護が一種のブームとなった時代に、ホームヘルパーの資格を取得した人たちである。そのベテラン介護職員が、20年の歳月を経てリタイアの時期を迎える中、若い職員が増えていない。それが平均年齢の高さに表れている。この状況を考えると、有効求人倍率が15倍を超えている現状もうなずける。

訪問介護の人手不足は、就職の際に初任者研修修了などの資格が必要であることに起因している。つまり、訪問介護の仕事をするためには、時間とお金をかけて資格を取らなければならない。他方、デイサービスや介護施設の介護職員になる場合は資格が要らないため、極端に言えば、明日からでも仕事ができる。介護の仕事を志す求職者が、どちらを選択するかは明らかだ。

新規の雇用や職員の定着を図るため、特定介護職員等処遇改善加算などを活用した賃上げなどの対応が急務だが、同加算の訪問介護の算定率は50%を切っている。これでは、新たな職員を確保できないばかりか、既存の職員も定着しないだろう。

介護職員処遇改善加算の算定区分が低かったり、特定介護職員等処遇改善加算を算定しなかったりする訪問介護事業所は、経営におけるリスクが高いといえる。

総合事業拡大は「軽度者移行の布石」

こうした状況の中、今年8月下旬からの約1カ月間、厚労省がパブリックコメントとして意見を募っていた第1号事業に関する制度改正があったことをご存じだろうか。第1号事業とは、2015年度に予防訪問介護と予防通所介護が移行した介護予防・日常生活支援総合事業のことだ。

今回の改正内容は、▽地域とのつながりを継続することを可能とするため、本人が希望し、市町村がそれを認めた場合は、要介護者もサービスを受けられるようにする▽国が定めた金額をサービス価格の上限とする規定を見直し、国の基準額を参考に、市町村が最終的に価格を決める―の2つ。

第1号事業の対象は要支援者のため、これまでは、要介護認定を受けた段階でサービスを利用できなかった。これが今回の改正に伴い、本人が継続を希望すれば、要介護へ移行しても引き続きサービスを利用できるようになる。今月22日付の官報で告示され、来年4月1日に施行される予定だ。

来年春の制度改正で実施が先送りされたテーマの一つに、訪問介護の生活援助や通所介護を利用する軽度者の市町村事業への移行がある。これが先送りとなった大きな理由は、総合事業の整備が進まない中で移行すると、利用者が“介護難民”になる恐れがあり、受け皿となる総合事業の整備を優先させる必要があるからだ。

その一環として、次の制度改正では、住民主体の「通いの場」の整備をさらに進めることになったが、総合事業の利用者を要介護者に拡大することは、将来の軽度者の移行に向けた布石と言えるだろう。

小濱道博(こはま・みちひろ)

小濱道博(こはま・みちひろ)
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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