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おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

痩せて脚まわりが細いため、尿モレにお悩みのNさん

対象者のプロフィール

【Nさん/90歳/男性/要介援4/東京都在住】
Nさんは、奥様との2人暮らしです。身のまわりのお世話や排泄ケアはヘルパーさんが行なっています。Nさんは、ほとんどをベッドに横になってお過ごしです。体型は非常に痩せており、脚まわりとおむつとの間にスキマができやすい状態です。

排泄ケアにはテープ式おむつを使用していますが、毎朝、脚まわりから尿モレを起こし、シーツまで濡れています。高齢の奥様も毎日尿モレが続くため、ご主人に言葉でつらくあたったりしてしまうと悩んでいます。以前は尿とりパッドを性器に巻きつけて使用していましたが、夜の間にはずれてしまうので、現在は巻きつけた上に尿とりパッドを重ねて使用しています。

ヘルパーさんが夜9時に最後のおむつ交換を行うと、翌朝9時まで交換がありません。夜間の尿量は尿量測定の結果800cc程度です。モレの原因がどこにあるのかわからず、毎日困っています。こんな悩みをヘルパーさんより受けたケアマネジャーさんから、「花王・リリーフふれあいダイヤル」に「どのようなおむつを選んで使ったらよいのでしょうか?」と相談がありました。

相談内容

■非常に痩せており脚まわりも細いため、おむつとの間にスキマができる状態
■テープ式おむつを使用しているが、脚まわりから尿がモレてしまう
■尿とりパッドを性器に巻いて使用しているが、はずれてしまうので、もう1枚の尿とりパッドを上に重ねている
■夜9時に交換後は翌朝9時まで、交換できない時間が長い
■ヘルパーさん、ケアマネジャーさんの両方が、体型にあったおむつ選びで改善したいと考えている

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

Nさんの奥様も高齢のため、なかなか排泄のお世話ができず、ヘルパーさんにお願いしていることが申し訳ないと恐縮しておられ、そのことでご主人に言葉でつらくあたってしまうというように、ストレスもたまっているようです。
ヘルパーさんもさまざまな種類のおむつを試すなど、試行錯誤しながら方法を考えていますが、なかなか尿モレが改善されないので、悩んでしまっているような状態です。ヘルパーさんが「ケアマネジャーさんに相談してみます」と奥様にお話すると、安心されたご様子でした。
Nさんの奥様にとって、毎日尿モレがあると、洗濯物も多くなり家事の負担だけでなく、精神的にも大きな負担になっていることを理解しましょう。またNさんご自身も、朝までの長い時間おむつが濡れたままの状態で、不快なお気持ちで交換を待っているかもしれません。少しでも快適に過ごしていただけるように、言葉のかけ方に配慮しましょう。体型やおむつ交換時間、回数に合ったおむつや尿とりパッドを選んでいただくことで、ご利用者様はもちろん、奥様やヘルパーさんの負担を軽くしましょう。

身体状況の確認

Nさんは非常に痩せていて脚まわりも細くなっているため、おむつと脚との間にスキマができるような状態で、尿モレがしやすくなっています。また低栄養の傾向にもあり、床ずれができやすい条件になっています。

おむつは尿とりパッドを巻いた上にさらに尿とりパッドを重ねて使用しているので、おむつの中がモコモコするばかりか、夜9時から翌朝まで12時間交換できないので、中はムレて肌トラブルも起こしやすくなっています。ヘルパーさんはおむつ交換の際に、お尻や性器周辺に肌トラブルがないかどうかの確認が必要です。

アドバイスと対応

夜から翌朝まで12時間おむつ交換がなく、排尿量が800cc前後ということからも、高吸収の尿とりパッドの使用が必要であることをご説明しました。使用の際には性器に尿とりパッドを巻きつけず、高吸収の尿とりパッドの幅の広い方を性器側に当て、おむつの中は尿とりパッド1枚で使うことをおすすめしました。

また、脚まわりが細く、脚の間にスキマがあるとのことでしたので、外側のおむつは脚まわりにも吸収体がついているテープ式おむつをおすすめしました。太ももの付け根部分にも吸収体があれば、どんなに細い脚まわりであっても、尿モレを防ぐことができます。また、細い脚まわりや胴まわりにピッタリとフィットするように、テープの止め方についてもアドバイスしました。

【体型にあったおむつ選びと使い方】
アドバイスと対応現在使用している一般的なテープ式おむつには、脚まわりからのモレを防止する立体ギャザーがついていますが、この立体ギャザーが脚のつけ根にしっかりと沿うことで、尿モレを防ぎます。しかし脚まわりが細くおむつとの間にスキマがあるような状態だと、どうしても立体ギャザーが脚のつけ根に沿うことができず、スキマができてしまいます。

そこで脚まわりにも吸収体がついているテープ式おむつをおすすめしました。細い脚の太ももの付け根部分にも吸収体があるので、尿モレを防ぐことができます。お体全体が細い方の場合は、テープを仮止めした後、下のテープは上方向に上のテープは下方向にひっぱり気味に止めます。

【おむつ交換の頻度や排尿量にあった尿とりパッドを選ぶ】
今回はヘルパーさんがきちんと排尿量の測定をしており、夜間12時間の排尿量は800cc前後であることを把握していたので、高吸収の尿とりパッドを速やかに選ぶことができました。利用者様のおむつ交換時の排尿量を知ることで、利用者様にとって最適な尿とりパッドを選ぶことができます。

【尿とりパッドの使い方】
高齢者の男性の場合、尿とりパッドを性器に巻きつけて使用しても、おむつの中ではずれてしまうるケースが多く見受けられます。尿とりパッドの外側は尿が外に染み出さないように防水シートになっています。おむつの中ではずれて防水シートの上を尿が伝ってモレてしまうことが考えられます。 したがって、男性でも尿とりパッドは敷いて使うことをおすすめします。
高吸収の尿とりパッドは、ひょうたん型や羽子板型をしていますので、男性の場合は幅の広い方を性器側にして使います。このときに尿とりパッドのモレを防止する立体ギャザーをしっかりと立たせます。

【重ね使いをしない】
重ね使いをしない尿モレがおきるのを防ぐため、尿とりパッドを重ねて使用しているケースをよく見かけますが、かえっておむつとお体の間にスキマを作ってしまい尿モレの原因になってしまいます。外側のおむつの中に尿とりパッド1枚で使っていただくことをおすすめします。ムレによる肌トラブル防止のためにも大切なことです。

結果

後日、ケアマネジャーさんは、Nさん担当のヘルパーさんにサンプルを手渡すとともに、おむつのテープの止め方や尿とりパッドの使い方を説明しました。そしてヘルパーさんはさっそくご利用者様宅へ訪問したときに、説明通りにおむつをあててみたとのことです。

ヘルパーさんは次の日、ハラハラした気持ちでおむつ交換に挑みましたが、尿モレがなくホッとしたようです。また、奥様に「今日はモレてなかったです。大丈夫でした」とお話したところ、「よかった、助かったわぁ、○○さんのおかげねぇ~」と感謝のお言葉をいただきましたとの報告をヘルパーさんから受けました。

ケアマネジャーさん自身も「おむつの選び方や使い方についてはひと通り知っているつもりでしたが、アドバイスをいただいて、改めて利用者様ひとりひとりにあったおむつの選び方や使い方があることに気づかされました」と語られ、これからもご利用者様の立場に立って、ヘルパーさんも含めて勉強をしていきたいとのことでした。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

ご利用者様の体型は、ひとりひとり皆違います。今回のご相談のように、非常に痩せていて、脚まわりも細い場合には、まず体型に合ったおむつ選びが大切です。また、ご利用者様が低栄養の状態にある場合は、床ずれなど肌のトラブルを起こしやすいので、ヘルパーさんがおむつ交換をする時に、必ずお肌の状況を観察していただくようにしましょう。

床ずれが発生すると、ますますご利用者様のQOLが低下してしまいます。重篤な状態になる前に、変化を見つけたら医療機関と連携して、早めの処置を行ないましょう。ケアプランの作成にあたっては、栄養状態の改善および食生活の支援を適切に行なうことも重要になります。

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