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おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

寝たきりで、夜間脚まわりからの尿もれにお悩みのYさん

対象者のプロフィール

【Yさん/88歳/女性/要介護4/42kg/兵庫県芦屋市在住】
転倒して大腿骨を骨折し入院。息子夫婦と同居しているが共働きのため、退院後は日中のみヘルパーさんのサポートを受けています。食事介助や清拭時以外、終日ほとんどベッドの上で生活しています。脳疾患や認知症はないが、排泄、食事と多岐にわたって介助が必要です。テープ式おむつに、尿とりパッドを複数枚重ねて使用しています。お嫁さんも尿とりパットを重ねたり、夜間におむつや尿とりパッドを交換したり努力してみたものの、尿もれが改善されず困っていました。在宅介護をしている友人に相談したところ、 「花王・リリーフふれあいダイヤル」 を紹介されました。

相談内容

■床ずれ予防のために横向きで寝かせているが、朝になると脚まわりからもれていることが多い
■入院中に使用していたテープ式を使用し、さらに尿とりパッドを複数枚重ねて使用しているのに改善しない
■おむつの当て方や尿とりパッドの重ね方などをいろいろ試してみたがどれもうまくいかず、イライラしてしまい、その様子が母にも伝わり、母の口数が減ってきた

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

寝たきりの方は、身体が動かないだけでなく、表情や発語も乏しくなり、気持ちも落ち込んで衰弱しやすくなります。そこで、積極的に声かけを行うなど、心身ともに生活の質を落とさないように努めることが大切です。Yさんのお嫁さんは、お姑さんの介護と仕事の両立で、ストレスもたまっていたようです。いつでもご相談に乗るから、一人で抱えこまずに一緒に尿もれを改善していきましょう、とお話ししたところ、安心されたご様子でした。

身体状況の確認

転倒骨折が原因でその後、寝たきりとなり、入院中使用していたテープ式おむつに複数の尿とりパッドを重ね、床ずれを予防するため横向きで寝かせていました。寝たきりの方の場合、尿とりパッドを重ねると、不自然な姿勢になって大きな体圧がかかり、床ずれを起こす危険性が高まります。

アドバイスと対応

尿とりパッドを重ねることで、もれを防げると思われがちですが、尿とりパッドを何枚重ねても吸水量は変わりません。尿とりパッドは尿が下に染みこまない構造なので、重ねて使っても意味はなく、返っておむつと身体の間に隙間を作り、尿もれしやすい状況を作ってしまいます。まずは尿量を計測し、夜間の排尿量に見合った吸収量の多い夜用尿とりパッドへ変更して、1枚だけで使用すれば夜間のおむつ交換が不要になることをお伝えました。

Yさんのように寝たきりの状態で起こる尿もれの多くは横向き寝が原因。寝たきりの方は、床ずれ予防のために体位交換で1日の3分の2を横向きの姿勢で過ごされますが、横向き寝は尿が流れやすく、その9割が脚まわりからもれています。このようなケースでは、脚まわりにも吸収体があるテープ式おむつをおすすめします。脚まわりの吸収体を脚の付け根部分に沿わせて装着すると、横向きに限らず仰向けでも、どんな姿勢で寝ていても、股からの尿もれを防止できます。

従来のテープ式の立体ギャザーは、尿もれを防ぐ堤防の役割を果たしていますが、尿とりパッドの併用で立体ギャザーを潰してしまうことがあります。また、おむつを当てた後、立体ギャザーがおむつの中に押し込まれ、そこから尿が伝わり、もれの原因にもなります。このように立体ギャザーが潰れると尿もれの原因となることを説明しましょう。

寝たきりの方は長時間のおむつの装着でムレやすいため、おむつに通気性のあることも重要なポイントです。テープ式やパンツタイプなど外側のおむつに通気性があることは多いのですが、中に入れる尿とりパッドには通気性がないものがほとんどです。外側のおむつと尿とりパッドの両方を、通気性のあるもので組み合わせれば、肌をさらさらに保つことができ、ムレ・カブレを防げます。これらのご相談内容とアドバイスをまとめた冊子 「アドバイスブック」 を作成し、サンプル製品・製品カタログとともにお送りしました。

結果

後日、お嫁さんから 「アドバイスブックには、おむつの当て方のイラストも載っていて、とてもわかりやすく助かった。サンプルのおむつを使ってみたら、尿もれが治まり、従来のおむつとは違う尿もれ防止の工夫を実感できた。尿もれしなくなったおかげで、本人も快適だと喜んでおり、口数も増えた。私も気持ちに余裕があるせいか、母に温かく接することができるようになった」 とご報告をいただきました。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

寝たきりの方のおむつ交換は、自力で立位・座位がとれる方とは違い、介護者が中腰になって介助するので、介護者の身体の負担も大きくなります。夜間におむつ交換を繰り返せば、介護者の疲労は増大します。また、寝ている時間が長く、おむつ交換の間隔も長ければ、それに見合った吸収量のあるおむつが必要ですし、横向き寝によって起きやすい脚まわりからの尿もれなど、寝たきりの方に現れる排泄トラブルの特徴は、数々あります。

こうした特徴を把握することが、適切な排泄ケアの実施に大きく影響します。“トイレに座って排泄する”という動作は、身体が自由に動かせる私たちからすると、無意識で単純なことです。しかし、寝たきりの方は、その単純な動作を喪失したことで、身体が動かないだけでなく、表情や発語も乏しくなり、気持ちも落ち込んで衰弱しやすくなります。横になることが多い方でも、医師や看護師に相談の上、可能であれば排泄はベット上で座位の姿勢をとったり、上半身を起こす時間を設けたりするようにしましょう。また、積極的に声かけることも大切です。介護度が比較的重く寝たきりの方に、少しでも快適な生活を取り戻すためには、より一層の介護労力が必要となりますが、同時に、排泄ケアの重要性や充実したケアプランが問われるときでもあり、ケアマネジャーさんの腕の見せどころともいえます。

責任感の強い人ほど、家族を思う心と介護を負担するつらい気持ちの板ばさみになりがちです。家族がいても、生活リズムのすれ違いや立場などで、排泄トラブルの受けとめ方にも差異が生じ、介護者は1人で思い詰めたりすることがあります。介護者の周囲には、同じ悩みを持つ人の団体、アドバイスをしてくれる専門職、官民の各種サービス、病院・施設、経済的助成制度など、さまざまな社会資源を含めた 「受け皿」 があることをお伝えいただき、1人の介護者に負担が偏らないように、介護に関わる方々が一丸となれる排泄(介護)環境を構築してください。

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