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おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

下肢に麻痺があり、糖尿病で夜間の尿モレにお悩みのKさん

対象者のプロフィール

【Kさん/83歳/男性/要介護2】
Kさんは、下肢に麻痺があり、日中は、尿瓶を使い排尿しています。糖尿病のため薬を飲んでいるせいか、夜間の排尿量が多いようです。使用しているおむつは、外側はテープ式、内側は男性用の尿とりパッドを性器に巻いて使用しています。以前は、紙パンツを使用していましたが、夜間モレてしまうこと、日中に尿瓶が扱いづらいことから、テープ式を使っています。

介護者である娘さんのお話では、Kさんご本人が「紙パンツをはきたい、おむつは嫌だ」との希望が強く、日中だけでも紙パンツにしてあげたいと考えています。しかし、夜間のモレや日中の尿瓶の扱いづらさを考えると紙パンツに戻すことに躊躇してしまいます。何かよい方法があれば教えてほしいと介護者である娘さんから「リリーフふれあいダイヤル」にご相談がありました。

相談内容

■下肢に麻痺がある
■既往症(糖尿病)の影響で排尿量が多い
■昼間は尿瓶での採尿、夜間はおむつ内に排尿しモレる
■ご本人がテープ式のおむつではなく紙パンツの使用を強く希望している

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

介護者である娘さんからは、Kさんのご希望を叶えてあげたいという気持ちが大変よく伝わってきました。Kさんご自身が「テープ式のおむつは嫌だ」とおっしゃっているのですから、ご希望をできるだけ叶えましょうと共感を持って相談応対を行ないました。

「排泄」にかかわることは、大変デリケートな問題です。Kさんご自身も「排泄」に関して、自分の思うようにならないことに複雑な気持ちをお持ちのはずです。まして、そのお手伝いをご家族にしてもらい、負担になっているのではないかと心を痛めていらっしゃるのではないでしょうか。排泄ケア用品は、介護する方の使い勝手だけでなく、ご利用者様ご自身の立場に立ち、尊厳を守る、快適なおむつ選びが重要です。また、おむつのあて方についても同様です。

身体状況の確認

Kさんは体格が良く、両脚に麻痺はありますが、特に脚まわりが細いということはありません。排便時には、ポータブルトイレに介助をすれば、座ることができます。

男性用の尿とりパッドを性器に巻きつけているとのことでしたが、おむつの中で外れていることはないかを確認しました。性器に巻きつけた尿とりパッドが外れてしまうと、尿とりパッドの外側の防水シートが、直接、肌に接触することでトラブルを引き起こすことがあります。

また、性器に尿とりパッドを巻きつけるとおむつの中がモコモコして、Kさん自身も不快に思っているのではないでしょうか。おむつ内の環境を快適に保ち、Kさんの尊厳を重視した排泄ケアに努めましょう。

アドバイスと対応

【夜間の尿モレの原因】
紙パンツを使っていた時の夜間の尿モレの原因は、いくつか考えられます。

(1)性器に巻きつけた男性用尿とりパッドが紙パンツの中で外れていないか。
紙パンツの中で性器に巻きつけた男性用尿とりパッドが紙パンツの中で外れてしまうと、尿が尿とりパッドの外側の防水シートの上にかかり、つたって紙パンツの脚まわりから、モレることがあります。

(2)横向き寝だと、どうしても尿が流れてモレやすくなります。
実際、仰向き寝と横向き寝の時の、おむつの尿吸収量を比較すると、横向き寝は、仰向き寝の2分の1程度しか尿を、吸収することができません(従来のテープ式おむつと尿とりパッド併用の場合)。そのため、横向き寝の時間の長い方は、横モレ防止の対策が、どうしても必要になります。

(3)男性の場合は、男性器は、寝る姿勢や体の動きで先端部が大きく動きます。
左側臥位でおやすみになっているので、その方向に男性器が傾いているために、尿モレが発生していることも考えられます。

(4)夜間の尿量を計ってみましょう。
糖尿病の影響で夜間の排尿量が多いとのことでしたが、実際に2~3日夜間だけでも、どの位の排尿量があるかはかってみることが大切です。排尿量に見合った最適なおむつや尿とりパッドを選ぶための決め手になります。

【使い勝手のいいおむつ選び】
ご利用者様ご本人のご希望や残存機能をいかして使うことのできる排泄ケア用品を選ぶことが一番です。昼間だけでも紙パンツで過ごしたい、過ごさせてあげたい。そんな要望にお答えできるのが、「リリーフ テープ式にもなるパンツ」です。

Kさんの場合、紙パンツとしてはいていただき、片側のミシン目だけを開いて、中からテープを引き出しておきます。尿瓶を使うときには、片側だけのテープを開閉することで対応することができます。おやすみになると時には、もう片側のミシン目を開き、テープを引き出して、テープ式おむつとして使用することができます。

夜間の排尿量が多いとのことでしたので、高吸収の尿とりパッドを立体ギャザーの中にしっかりと納め装着して使います。また、「リリーフ テープ式にもなるパンツ」は、通常の紙パンツと比べて、吸収体の面積が広くなっています。

【尿とりパッドの使い方】
昼間は、尿瓶を使っていますので、殆ど尿とりパッドを濡らすことがないので、昼間は吸収量の少ない尿とりパッドで十分に対応ができます。男性用の尿とりパッドを巻いて使用するのではなく、敷いて使います。

尿取りパッドの前後夜間は排尿量が多いとのことでしたので、排尿量に合った高吸収量の尿とりパッドをおすすめします。高吸収量の尿とりパッドは、ひょうたん型をしていますので、男性の場合は幅の広い方を性器側にして使います。このときに尿とりパッドのモレを防止する立体ギャザーをしっかりと立たせます。

結果

Kさんの娘さんにあて方の説明(アドバイスブック)とサンプルをお送りしたところ、以下のようなお返事をいただきました。

『アドバイスブックをよく読んでサンプルを使ってみました。紙パンツと言ってもいろいろな種類があることを知り、大変勉強になりました。

今までモレないようにとそれだけを考え、工夫したつもりでいましたが、父の気持ちなど何も考えていなかったことに気づかされました。父にとって、尿とりパッドの使い方が不快であっても、なかなか言い出せなかったのかもしれません。専門の方にいろいろ相談して、よかったと思いました。

今のところ、朝起きた時の尿モレもなく、本当に感謝しています。父にとっても、「リリーフ テープ式にもなるパンツ」は、「おむつ」という感覚ではなく、満足している様子です。娘に負担をかけているという思いからも開放されているのではないかと思います。

また、相談員の方に、「お肌のトラブルはありませんか?」と聞かれたことで、おむつ交換の時には、お尻が赤くなっていないかなど注意して見るようになりました。これからも、困ったことがあったら相談にのってもらえるところがあると思うと安心です。』

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

排泄用具は、どうしてもご利用者様のご家族の負担を考えて、介護する方の使い勝手の良いものを選んでしまう傾向にあります。排泄は、尊厳に関わる問題です。ご利用者様の尊厳を一番に考え、残存機能をいかした排泄ケアができるよう心がけましょう。

「最後までトイレで用をたしたい」皆そう思っているはずです。失禁があったからといって、すぐにおむつを使うということではなく、ご利用者様のお体の状態をしっかりと把握し、何が問題になっているのか、その原因は何かを判断するアセスメントがケアマネジャーに課された大きな課題です。ご利用者様ができることは何かを考えましょう。

例えば、Kさんのように歩行が困難であっても、尿意があり、少しのお手伝いでポータブルトイレに座ることができるのなら、紙パンツを使うことができます。

また、今回のご相談にあったように、高齢者の場合、病気やお薬の関係で夜間の排尿量が多くなっている場合もあります。医療関係者との連携をはかり、ご利用者様ご本人が少しでも快適に過ごすことができるよう、ご家族の意向も確認しながらアセスメントを実施しましょう。

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