もう悩まない!最適なおむつの選び方 ケアマネージャーのための大人用おむつ講座 情報提供:花王株式会社もう悩まない!最適なおむつの選び方 ケアマネージャーのための大人用おむつ講座 情報提供:花王株式会社

おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

トイレ介助が必要で、夜間の尿もれにお悩みのSさん

対象者のプロフィール

【Sさん/73歳/女性/要介護2/47㎏/長野県松本市在住】
独り暮らしのSさんは、関節リウマチを患い、膝が痛むのでスムーズに歩けません。トイレに間に合わないときもあるため、薄型パンツタイプのおむつを終日、単体で使用。夜間も同じタイプのおむつをはいているが、毎晩のように尿もれがあり、不自由なお身体での夜中の着替え・シーツの交換は精神・体力的にもきつく疲れ果ててしまい、睡眠不足が続いています。また、ヘルパーさんが来るまでシーツが濡れた不快な状態を我慢して待っていたこともあるなど疲労困ぱいの様子で、日中、食事を残されることもあります。担当のケアマネジャーさんは、“おむつが合ってないことが尿もれの原因では”という疑問を抱き、 「花王・リリーフふれあいダイヤル」 に電話されました。

相談内容

■夜間、介助者がいないため、就寝中に尿もれが起きても、濡れたおむつやシーツなどを本人が交換しなければならなず、睡眠不足に悩まされている
■不自由な身体での夜中の着替えは疲れ果ててしまい面倒だと尿もれの状態のまま寝ていたこともある
■睡眠不足の誘因となる、おむつの尿もれを防ぎたい
■相談者であるケアマネジャーさん自身の経験が半年と浅く、おむつの種類や当て方などの知識・経験が乏しいため、専門家のアドバイスを聞きたいと希望している

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

独居の方にとって周囲からの支援体制が、排泄ケアマネジメントを含めた、その方の生活の質に直結しています。使用するおむつの選択やサンプル品を渡すだけでなく、正しい使用方法が日常生活で実践できているかどうかなど、一歩踏み込んだ配慮が必要です。

身体状況の確認

Sさんは、足が悪く杖を使っての歩行なので、排泄動作がスムーズに行えません。付き添い介助があれば排泄できるとはいえ、トイレまでの移動やズボンの上げ下ろし、便座への移乗などにかなりの時間を要します。トイレ誘導の際、間に合わないときがあるので、薄型のパンツタイプのおむつを1日中使用していますが、夜間の尿もれが毎日あるという状況です。

アドバイスと対応

夜間に当て放しのおむつは、長時間の使用により尿量が1枚あたりの吸収許容量を超えている可能性があります。パンツタイプのおむつを薄型から吸収量の多い厚型に替えてみてください。厚型パンツタイプでは、約5回分程の排尿に対応できます。また、夜用尿とりパッドも併用するといいでしょう。夜用や長時間用の尿とりパッドは、吸収量・サイズともに大きいので、夜間に複数回排尿しても対応できます。尿とりパッドを併用すれば、パンツタイプのおむつをすべて脱がずに汚れた尿とりパッドだけ交換することが可能で、パンツタイプのおむつを何度も交換する必要がないので経済的です。尿の吸水力以外にも、パンツタイプのおむつを選ぶポイントとして、手や足の不自由な方には、ウエスト部分のギャザーが柔らかく、よく伸びて足の入れやすいおむつをおすすめします。伸縮性のあるやわらかいおむつは、着用中だけでなく着脱時にも負担になりません。これらのご相談内容とアドバイスをまとめた冊子 「アドバイスブック」 を作成し、サンプル製品・製品カタログとともにお送りしました。

結果

後日、ケアマネジャーさんからリリーフふれあいダイヤルにご連絡がありました。 「サンプルで送ってもらった厚型のパンツタイプのおむつをSさんに試した。実際に使用したおむつの状態を見せてもらったが、尿とりパッドが尿を吸収して外側のパンツタイプに全くもれていないことに驚いた。Sさんも『もれないだけでなく、排尿後も肌触りがサラっとしているので朝までぐっすり眠れた。このおむつなら心配いらない。ケアマネジャーさんがおむつの専門家に相談してくれたおかげだ』と、とても喜んでいる。私もSさんの睡眠不足が解消してホッとしている。電話してみて良かった」 と、お礼の言葉をいただきました。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

疾病やケガによって運動能力が低下したり、認知症のために判断力が低下したりしたことが原因で起こる失禁を 「機能性尿失禁」 といいます。排尿器官、排泄をコントロールする脳・神経系統には問題ないですが、心身の障害によって排泄が上手にできない状態です。

運動訓練などで排泄機能の向上が図れないだけに、ご本人の身体状況や介護力を考慮した適切な排泄補助製品の活用や生活環境の整備が重要です。独居の方は、周囲からの支援体制が、排泄ケアマネジメントを含めた、その方の生活の質に直結しています。使用するおむつの選択やサンプル品を渡すだけでなく、正しい使用方法が日常生活で実践できているかどうかなど、一歩踏み込んだチェックも必要です。おむつや尿とりパッドのあて方が適切かどうか、ケアマネジャーさんやヘルパーさんから確認してください。

排泄ケアの一環としては、おむつ以外の工夫も視野に入れましょう。例えば、お身体が不自由な方がトイレまでの移動に時間がかかる場合、安易にポータブルの使用をすすめたりしがちですが、居室などで排泄することに抵抗を感じる方もいらっしゃいます。また、付き添い介助があればトイレまで歩行できる方が、歩く機会が減ると体力が落ち、身体を動かすことが面倒になって寝たきりになりがちです。

トイレまでの動線上に置いてある物を片付けることや、ご本人の希望を伺った上で、居室や寝室をトイレ近くの部屋に換えるなどして、トイレに到達する時間を短縮できます。可能ならば廊下に手すりや、センサーで点灯する照明をつければ、より移動しやすくなります。また、着脱しやすいように衣類の工夫も有効です。排泄時、ズボンの上げ下ろしには時間がかかりやすいものですが、ボタン部分を面ファスナーにしたり、ファスナーに大き目のリングを付けたりすれば、手の不自由な方でもつかみやすくなり、上げ下げに時間がかかりません。

以上のように排泄トラブルの解消を図る方法は多様ですが、おむつについての知識を深め、必要な情報を入手して、排泄トラブルの解決策を現場に浸透させていきましょう。

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