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おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

紙パンツからの尿モレをなくしたいOさん

対象者のプロフィール

【Oさん/79歳/男性/要介護3】
Oさんは奥様と二人暮らしですが、最近、腰痛がひどくなってきています。
日中は、奥様が付き添ってトイレに行きますが、歩くのがゆっくりなため間に合わない場合が多く、ほとんどおむつ内に排尿しています。

使用しているおむつは、1日中、薄型の紙パンツ(Mサイズ)と長方形の尿とりパッド(排尿2回分、ズレ止めテープ1ケ所)です。日中は、尿とりパッドがズレることがあり、ズボンが少し汚れて、奥様もにおいが気になっています。また、夜間に薄型の紙パンツの外に尿がもれ、シーツを汚すことが週2~3回あります。

介護者である奥様は、着替えや洗濯が大変なので、尿モレをなんとかなくしたいと考えています。先日、たまたまお店で、夜用の尿とりパッドをみつけたので、これを使えば解決できるかもしれないと思って使ってみましたが、夜間、またしても尿がモレてシーツも汚してしまいました。困り果てた奥様がケアマネジャーに相談したところ、「花王・リリーフふれあいダイヤル」を紹介され、早速相談の電話をしました。

相談内容

■腰痛があり、歩行が困難なため、主におむつ内に排泄
■昼間は介助でトイレに行くが、尿とりパッドがズレるため、尿がモレる
■夜間はおむつの外に尿がモレ、寝具を汚す
■老老介護のため、介護者である妻の介護負担が大きい
■適切な尿とりパッドの選び方を知ることで、尿モレを解決したい

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

介護者である奥様は、献身的にOさんのお世話をしています。移動が自由にできないOさんは、奥様の負担を少しでも減らしたいという気持ちをお持ちかもしれません。まして、おむつを使っていても尿がモレて寝具や衣類を汚してしまい、着替えや洗濯を高齢の奥様にしてもらっているので、奥様の負担になっているのではないかと心を痛めていらっしゃるのではないでしょうか。

おむつ使用者、介護者双方の心身の大きな負担感に共感を持って、相談対応を行いましょう。
排泄ケア用品を選ぶ際は、ご本人にとってより快適であるのはもちろんのこと、介護者の負担も軽減できる排泄用品を選び、適切に使うことが重要です。

身体状況の確認

Oさんは、体に麻痺はありませんが、腰痛のため動作に時間がかかり、トイレが間に合いません。できるだけトイレを使いたいという希望もあり、日中は、介助でトイレに行っています。体格は、特に脚が細いということもなく、Mサイズの薄型の紙パンツでサイズは合っています。

アドバイスと対応

【尿モレの原因を探る】

薄型の紙パンツと尿とりパッドを併用する時の尿モレの原因は、いくつか考えられます。

1) 排尿量が尿とりパッドの吸収量よりも多い
一般に、年齢を重ねると、抗利尿ホルモンの関係で、夜間の尿量は昼間よりも多くなってきます。昼間と同じ吸収量の尿とりパッドを夜間も使っている場合、吸収量不足が考えられます。

2) テープ式紙おむつ用の夜用尿とりパッドが薄型の紙パンツからはみ出している
紙パンツは、歩いたり座ったりしやすいように、股間幅が広すぎず、尿を吸収する部分(吸収体)もテープ式紙おむつに比べ、短くなっています。
一方、テープ式紙おむつ用の夜用尿とりパッドは、幅も広く長いものが多いため、紙パンツに入れると、股間からも、お腹や背中側からも尿とりパッドがはみ出してしまい、モレの原因になります。

3)紙パンツがずり下がっている
薄型の紙パンツがウエストまでしっかり引き上げられていない状態だと、尿道口とおむつの間に隙間ができてしまい、モレの原因につながります。

4) 男性は尿モレやすい
男性の場合は、寝る姿勢や体の動きで男性器の先端部が動きやすくなります。側臥位でおやすみになることが多い場合には、性器に方向性があるため、尿モレが発生しやすくなります。

【適切なおむつの選び方】

今回の相談の場合、紙パンツのサイズは合っているので、尿とりパッドの種類を見直しましょう。尿とりパッドは、外側のおむつに合ったタイプでかつ、排尿量に見合ったものを選ぶことが大切です。

Oさんの場合、ズレ止めテープが1ケ所の尿とりパッドを使っていましたが、これは、テープ式紙おむつ用の尿とりパッドとして設計されたものです。このタイプの尿とりパッドは、前側にして使うと多少ズレにくくなります。しかし、薄型の紙パンツと併用するなら、ズレ止めテープが前後2ケ所ある紙パンツ用の尿とりパッドを使うほうがよいでしょう。この尿とりパッドは外側の薄型の紙パンツを上げ下げしてもズレにくい設計です。そして、紙パンツにすっぽりおさまる幅と長さのため、股間もモコモコせず、動きやすいので、使い心地も快適です。

また、夜間の排尿量は昼間に比べて多くなる傾向がみられるので、夜間は、吸収量の多い尿とりパッドを使いましょう。ただし、テープ式紙おむつ用の夜用尿とりパッドは、長さや幅が大きいので、上手に使わないと薄型の紙パンツからはみ出してモレる心配があります。夜間は、紙パンツ用の高吸収の尿とりパッドを選択しましょう。 なお、外側の紙パンツは、後ろ側もしっかり引き上げやすいものを選びましょう。

【紙パンツ用尿とりパッドの上手な使い方】

前後2ケ所のズレ止めテープをしっかり紙パンツ内につけます。 男性の場合、尿とりパッドを性器に巻いて使用するのではなく、敷いて使います。この時に尿とりパッドのモレを防止する立体ギャザーをしっかりと立たせます。

【薄型の紙パンツの上手な使い方】

薄型の紙パンツをはく場合、前側はおへそまで上がっても、後ろ側がしっかりウエスト位置まで上がりきらないという状況が発生しがちです。この状態で動いたり、椅子に腰掛けたりしていると、紙パンツはズリ下がり、モレの原因になります。トイレから出た後やおやすみになる前には、背中側もしっかりウエストまで引き上げができているかを確認しましょう。

結果

Oさんの奥様は、「これまでは、『夜用』と書いてあればモレないのかと考えていましたが、紙パンツ用の尿とりパッドがあることを、今回初めて知りました。ズレ止めテープが2ケ所ついている紙パンツ用尿とりパッドを試したら、ズレることもなく、モレて衣類やシーツを汚すことがなくなりました。専門のアドバイザーの方に、わかりやすく説明してもらえて、ありがたかったです。紙パンツに合った尿とりパッドを選ぶポイントがわかって、勉強になりました。」と相談して解決できたことをたいへん喜んでくださいました。 今では洗濯物の量も減り、夫婦でゆっくり昔話する余裕もでてきて、本当に感謝しているようでした。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

排泄ケア用品の種類は、近年非常に多くなってきて、適切に選択することが難しくなってきました。また、尿モレによる介護負担を少なくしたいという思いから、不適切なおむつを選択したり、使い方に問題がある場合が少なくありません。 排泄ケア用品についてアドバイスされる場合は、ケアマネジャーとしてご利用者様のお身体の状態をしっかりと把握し、また、ご家族の介護力も確認することによって、誰にとって何が問題になっているのか、その原因は何かを判断するアセスメントが重要です。

たとえば、Oさんのように歩行が困難であっても、トイレに行けるのであれば、着衣の汚れを防ぐために、薄型の紙パンツと適切な紙パンツ用の尿とりパッドを使うことで、ご利用者様とご家族の心身の負担が軽減できます。 ご利用者様ご本人が少しでも快適に過ごすことができるよう、上手く排泄ケア用品の選択をすることから始めましょう。

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